現代の教育で、国語力の重要性が問われるようになっている。曰く、「全ての学習の基盤である」「コミュニケーション能力をつかさどる」「思考力の大元である」等、重要性を説く主張には事欠かない。各教科の指導でも、文章問題や筆記問題が重視される傾向にある。そんな中、国語力向上に定評のある塾が進学塾のキューブだ。良い先生がいるとかではなく、塾全体で国語力向上のために取り組んでいる。どうやって国語力を向上させるのか。何故、国語力の向上に力を入れているのか。
社長、宇佐美正晴さんにお話を伺った。
最初は国語力についてのお話だったが、話しはどんどん広がっていき、キューブという塾は国語力を起点として、生徒の教育に大きくかかわっていこうという意思が感じられた。
国語の指導に定評があるキューブでは、どのような取り組みをしているのか。
国語の授業内容を聞くつもりで尋ねたが、返ってきた内容は、教科としての国語ではなかった。
キューブ:
国語の授業の中で、特別な事をしている訳ではありません。国語力向上のために実施しているのは、作文です。生徒はキューブに来ると必ず作文を書きます。授業開始から10分は作文の時間と決まっていて、例外はありません。200字詰めの原稿用紙に、決められたテーマで作文を書く事がルールです。
たったの10分 で作文を書く。大人でも難しいのではないだろうか。だが教室の様子を見ていると、生徒は少し考えると、すぐにペンを動かし始める。この光景を見ただけでも、キューブの生徒達が他の子供たちとは違う様子が見て取れる。
勿論、すぐには出来ません。最初は1行か2行くらいしか書けない生徒もいます。ですが、時間をかければ段々と慣れて書けるようになってきます。半年から1年程たてば、きちんと原稿用紙が埋まるようになります。
それが、国語力が上がったと言っていただける一番の理由だと思っています。大人でも10分で書くのは難しい、それを子供たちが出来るようになると言うのは、非常に大きな成長です。
幾つかの作文を見せて頂いたが、実にしっかり書かれている。比較した事は無いが、同じ学年の平均的な作文よりずっと良いのではないだろうか。だが、この生徒が特別なのではないと言う。こういったレベルに到達するためには、一体どのような指導が行われているのだろうか。その質問に対する答えは意外なものだった。
キューブ:
何もしていません。キューブでは作文についての指導は行わない事が原則です。
何もしていないのに、これだけ作文の技術が向上するはずが無い。
だが、現実キューブの生徒達の国語力はかなり高い水準である。
その疑問をぶつけると、作文について指導を行わない理由は多岐に渡っており、それを丁寧に説明してくれた。
キューブ:
作文について細かく指導しない最大の理由は、指導することで、生徒が書かなくなるからです。書かなくなる理由は二つあります。作文の指導とは生徒の書いた作文を修正することです。作文を修正された生徒は、修正されない文章を書かなければいけないと考えてしまい、結果として自分の発想のままに作文を書かなくなります。もう一つの理由は、書き方を教えるとその書き方に固執してしまうからです。例えば、「私は」で文章を書き始める事を教えると、同じ書き出しでしか作文を書かなくなります。内容も、「私」のことしか書かなくなるのです。生徒の頭の中では、もっと沢山のことが考えられています。でも、書き出しをひとつ決めるだけで、その可能性は狭められてしまうのです。
確かにキューブの生徒は、塾にきてから作文のテーマを知るにもかかわらず、すぐに作文を書き始める。指導しないことで、生徒が書きやすい環境を整えているのだ。しかし、それでは国語力が向上する理由にはならない。国語力向上の鍵はどこにあるのか。
キューブ:
書きやすい環境こそが、最大の指導です。キューブの生徒は来塾の度に必ず作文を書きます。週2回通っているなら、年に100回作文を書きます。キューブ以外の場所で作文を書く機会はあまり多くありません。学校では学期ごとに1回か、2回程度でしょう。キューブに通う生徒は、普通にその20倍も30倍も作文を書きます。
作文は絵を描くことに似ています。絵を描こうとしたとき、何度も写生をくり返せば上達します。描いた絵と実物を比べれば、改善点が見つかるからです。作文も同じです。考えたことを、文字で書くのが作文です。考えたことという正解が頭の中にあれば、上手に表現できているかどうかはわかります。
逆にいえば大人が見て添削しても、生徒の考えていることとの比較ができませんから、見当違いの指摘になる可能性もあるわけです。繰り返し書くことで、自分の考えを文章で正確に表現できるようになるのです。その表現できることこそが、国語力ではないでしょうか。少し話は戻りますが、考えたことを表現するという観点からも、書き方にこだわって、生徒の考えることを制限するような指導は控えるべきでしょう。
キューブでは、表現する力を磨くという目的のために、作文を利用して指導を行っているのだ。作文を書くことがゴールではないから、添削するのではなく、どんどん書くように促している。しかし、間違った書き方を覚えてしまうことはないのだろうか。
キューブ:
作文の添削は行いませんが、講師は必ず全ての作文を読みます。勿論間違った漢字や表現もたくさん見つかります。その点の改善については、授業で行います。キューブは学習塾ですから、作文だけを指導しているわけではありません。作文から見つけることのできた弱点は、指導の中で改善します。それを作文の中でやれば、生徒は作文を苦手になるかもしれませんが、勉強で苦手を指摘されるのは気になりません。
進学塾のキューブ
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